登山口観察学入門
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File No.015

 変な形の街灯?


菩提峠に立つ電子基準点。日本全国あちこちに同様の施設がたくさんあるのでしょう

説明板には「建設省国土地理院」の文字も見えます。設置されたのは、少なくとも運輸省と統合されて国土交通省になった2001年よりも前のことのようです

   
 丹沢山系の菩提峠は、県道から外れて少し奥へ入ったところにあって、岳の台という山の登山口になっていますが、ほかに何もない山の中です。そんな菩提峠の一角にいぶし銀のように鈍く光る円筒形物体が直立していました。

 最上部には白い半球状カバーが取り付けられ、一見すると街灯のようにも見えますが、こんな辺鄙なところに街灯というのも首をかしげたくなります。そもそも電線が来ているのか大いに疑問です。しかも、金属製の支柱はやたら太く、街灯にしては、かなり変な形です。

 近づいてみると、国土地理院の名前で説明文が取り付けられていました。そこには「電子基準点」とあり、「電子基準点は地上約2万kmの高さを周回するGPS衛星が発信する電波を受信し、この地点の位置を観測するための施設です。受信データは、つくば市にある国土地理院に毎日転信しています。この受信データは、土地の測量、地図の作成、地震・火山噴火予知の基礎資料に利用されています」との文が添えられていました。一般の人が「これ何だろう?」と疑問に思うことを想定して、国土地理院も、わざわざ説明板を取り付けたんでしょう。

 変な形の街灯ではなくて、電子基準点だったんですね。なるほど、そういう施設なら納得です。でも、観測データを送信するためには、電源が必要なはずですが、どこから供給してるんでしょうか。外観上は太陽電池パネルのようなものもありませんでした。電線が引いてあるのか、バッテリーなのか、見た限りではわかりませんでした。